れいちぇるのおつまみなブログ

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知ることが生活を豊かにする。フィナンシェと小説『君のクイズ』

「知る」ことで目に見える日常や景色の解像度がぐんと上がった経験がある。

フィナンシェは私のお気に入りの焼き菓子だ。味が好みなのはもちろんのことサイズ感とキチンと感も好きで、友人と贈りあったりすることも多い。先日、家で母とお茶をしている時に友人からのプレゼントのピエールエルメのフィナンシェを勧めた。

すると「フィナンシェ。美味しいわよね。これって金塊なの知ってる?」と母に問いかけられた。金塊?なんの話だろうと頭の中でいくつかハテナが浮ぶ。「フィナンシェはフランス語でお金持ちって意味。この形は金塊をイメージして作られたの。後、忙しいビジネスマンが手を汚さず片手でつまめるようにっていうのもあるわね。」と教えてくれた。

「えっ。えー金塊!!」と驚くわたし(相変わらず物知りな母)。

フィナンシェの意味と由来を知った。これまでただのお気に入りの焼き菓子だったフィナンシェがとてつもなく高貴な存在に感じる。その佇まい。改めてみると金塊。めっちゃ金塊。一口食べるごとに豊かな気持ちに包まれる。そしてこのキチンと感。食べやすさはちゃんと計算して作られていたのね。

うーん、知らなければ決して出会えなかった、この豊かでリッチで鮮やかなフィナンシェを楽しむ時間。

そういえば去年泊まったHiramatsu 熱海も手土産がフィナンシェだった。縁起がいいな。知ることで過去の体験もグッと色鮮やかに。

知っていることが増えると生活が豊かになるなあ、と実感しながら日々を過ごしていると、この考えをこれでもかってくらいに言語化してくれている小説『君のクイズ』に出会った。

早押しをクイズを切り口とした謎解きミステリーでありながらも、そんなことはどうでもよくなるぐらいに作者の知識量と表現力に魅了された一冊。「知る」ことの力をとんでもない角度から教えてくれる。とんでもないよ本当に(とんでもない3回目)。知識は自分を守り、日常を人生を豊かにする最強の武器。

クイズに答えているとき、自分という金網を使って、世界をすくいあげているような気分になることがある。僕たちが生きるということは、金網を大きく、目を細かくしていくことだ。今まで気づかなかった世界の豊かさに気がつくようになり、僕たちは戦慄する。戦慄の数が、クイズの強さになる。

『君のクイズ』小川哲

(自分という金網で世界をすくいあげる。これ痺れる。この言語化かっこよすぎ)

物語は主人公の三島玲央とクイズの天才、東大医学部4年の本庄翼の早押しクイズ大会決勝戦のシーンから始まる。決勝戦の最終問題、本庄翼がまだ問題文が一文字も読まれぬまま正解を導き出す不可解な事態が起こる。ゼロ文字押し。なぜ正解が分かった?魔法か?ヤラセか?。主人公の三島玲央がゼロ文字押しの真相を追求する。

クイズとは何か。クイズでその人の人生が見えてくる。クイズという身近なテーマゆえ、とにかく読みやすい。これは小説を普段読まない夫も楽しめるなと思いおススメした。(ちなみに2023本屋さん大賞ノミネート作品です)

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いやー『君のクイズ』すごい。人生ドラマならぬ人生小説に出会ってしまった気が。(余談ですが、韓国語では「人生ドラマ」って表現があって、人生最高のドラマって意味がある。この表現が大好きなので人生最高の小説は「人生小説」って呼んでる)小川哲さんの作品また近いうちに読みたいな。

明日から仕事。憂鬱でないと言ったら噓になる。でも自分という金網を大きく、目を細かくし、仕事の面白さをしっかりすくいあげようと思う。「知識は自分を守り、日常を豊かにする最強の武器」。そう信じて。

 

では素敵な連休最終日を。

 

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